引き続き「殿下、」の中間部の細かい部分のアレンジに着手してますが、あるところからイメージが膨らみきらずやや堂々巡りのような事態に陥ってしまいました。
原因の一つは、そのパートを何の楽器でやるのが良いかイマイチ決定打がなく、仮音色の連続になってしまってる点。
こういう場合は、一旦そこから手を引き、生楽器に差し替える事が決まっているパートの録音をしてしまうのが打開策としては適切と判断しました。
仮に、これを無理に頑張って各パートの音色を決め切るところまでやったとして、その後生楽器に差し替えしてみたら、そこでまた雰囲気が変わってしまい、また手を入れる必要が出てしまう事もありえるわけです。
Aメロはアコースティックギターで弾く想定なんですが、単旋律でこれだけだとシリアスで実に真面目な雰囲気になってしまい、およそ賑やかさは皆無でむしろ寂しいくらい。
12弦ギターのようにオクターブ上の音も足されると、フレーズに明瞭さと華やかさが増して良くなるんだけど、残念ながら12弦ギターを持ってないんだなあ・・・。
この場合、1オクターブ上を弾き足してしまえばすむ話なんだが、それをやったとしてもそれだけでは物足りない事は想像の段階でわかりました。もう一捻り欲しいね。
ここで思いついたのが大正琴。
大正琴は一つの音程に弦を4本使ってます。1オクターブ上と下と2本ずつあるので、言ってみれば12弦ギター2本あるのと同じようなものです。これを一台でまかなうなんて、なんと効果的か!妙案です(笑)音色も特徴あって面白い。
大正琴は以前、質屋で状態の綺麗なのをお手軽価格で買いました。どんな奏法なのかは大まかには知っていたものの、それまで演奏した事がなかったので、ただただ興味本位で弾いてみたくて買ってみました。
話は脱線しちゃいますが、大正琴というと頭に浮かぶのが「さくらさくら」。
大人数でみんなでユニゾンと呼ばれる同じ旋律を弾く奏法でゆっくりしたテンポで演奏するのがザ・定番です。
買ってまずやってみるのがその曲と言っても良いんですが、自分の場合どうしてもやってみたい曲があったので、そこをすっ飛ばしました。
「犬神家の一族のテーマ」。これです!
オリジナルはメロディをダルシマーという楽器でやってるんだと思いますが、大正琴でやってもなかなか雰囲気出るんじゃないかと。ところが1曲目にやる曲にしては冒頭から音程が飛ぶので、指使いを考えながら弾かないとこの曲はすぐ弾けるもんじゃありません。
音階の配列はピアノと同じで左手でそれを弾く要領です。ピアノは鍵盤間が均等なんですが、大正琴は音が高くなるにつれ鍵盤間は狭まっていき、低くなると広がっていくというピアノよりある意味難しいのです。
「犬神家の一族のテーマ」をご存知の人は判ると思いますが、途中半音下降でメロディが動くところがあり、そんな箇所に限って鍵盤間が狭すぎて弾き難くかったり、逆に鍵盤間が広すぎて弾き難くかったり、更には臨時記号使う音程が出てきたりとやっぱり一曲目に取り上げるにしては骨がある曲だと思い知らされますが、あの美しい淫靡なメロディを通して弾き切った時の達成感はひとしおです。
また意外にも音源に合わせて演奏してみるとテンポは決して遅くはないので、そこも難易度の高さにつながります。イメージはゆったりした印象なんだけど。大正琴をお持ちの方は是非一度トライしてみてもらいたい。
今週はここまで
次回につづく